あかし内科クリニック

息切れは重大な病気が原因のことがあります。

続く場合は医療機関を受診してください!

こんな症状も「息切れ」です

医学用語では息切れのことを呼吸困難と言います。

・息が深く吸えない
・息を吸っても酸素が足りない
・胸が締めつけられる
・息を吸うときに普段よりエネルギーを使う

のような症状も息切れ・呼吸困難に含まれます。

発症期間で異なる息切れの原因

肺の病気・心臓の病気・貧血をまず考えます。

息切れは急に始まる場合と数週間から数か月かけてゆっくり始まる場合では原因が異なります。

急に始まる息切れの原因(数分~数時間)

  1. 肺や気管の感染症(肺炎、気管支炎)
    発熱、咳、痰を通常伴います。肺炎を起こす細菌やウイルスは数多くあり、新型コロナウイルス感染 (COVID-19)、肺炎球菌、インフルエンザなどが原因となります。
  2. 気管支喘息(単に「喘息」とも言います)
  3. 誤嚥(ごえん)・窒息
    食べ物(豆類、餅など)や異物(入れ歯、差し歯、子供ではおもちゃなど)の誤嚥で気管がふさがり、空気の出入りができなくなります。
  4. 気胸
    何らかの原因で肺に穴が開いて空気が漏れ、肺が縮みます。
  5. アナフィラキシー
    息切れの他に皮膚や粘膜のかゆみや腫れ、発疹(赤いぶつぶつが全身に出る)がでます。
  6. 肺の血栓症(肺塞栓)
    エコノミークラス症候群ともいわれます。経口避妊薬(ピル)を飲んでいたり、がんを治療中の方、直近で整形外科の手術を受けた方は発症率が高くなります。
  7. 心不全
  8. 狭心症・心筋梗塞
    胸の重たい感じや胸痛を通常伴います。
  9. 妊娠
    横になったり動いたりすると軽い息切れがします。妊娠に伴う体の通常の反応と考えられています。

ゆっくり始まる息切れの原因(数週間~数か月)

  1. 気管支喘息
  2. 肺気腫(COPD)
    タバコなどが原因となり、肺の機能が徐々に低下します。
  3. 貧血
    体に酸素を運ぶ赤血球が減ると息切れの原因となります。
  4. 心不全
  5. 運動不足
    運動不足が続くと同じような運動でも息切れを感じやすくなります。
  6. 肥満
    胸やお腹が重たくなり、呼吸に使う筋肉を沢山使うため息切れが出やすくなります。
  7. マスクの着用
    息を吸い込むときに呼吸の筋肉をより働かせる必要があるため、息が苦しい感じがする場合があります。日常生活では体内の酸素・二酸化炭素に影響は出ません。息切れはゆっくり深く息を吸い込むと改善します。
  8. 比較的まれなものとして、心筋症(心臓のサイズや形に異常が出る病気)、間質性肺炎、肺高血圧症などがあります。

息切れを感じた時は医療機関の受診を

深刻な病気が原因のことがあるため、以下に当てはまる場合はすぐに医療機関を受診してください。

注意!危険な息切れ

  • 胸痛・胸の圧迫感がある
  • 座って安静にしていても息切れがする
  • 発疹や皮膚のかゆみなどがでた
  • 吐き気を伴う

息切れで行う検査

症状や経過がとても大事です。必要に応じて検査をします。

  • 感染症の検査(綿棒で鼻からの検体を取ります)
  • 血液検査(貧血のチェック)
  • 胸部レントゲン
  • 呼吸機能検査
  • 心電図
  • 心臓超音波検査
  • パルスオキシメーター(SpO2)

参考文献

  1. Am J Respir Crit Care Med 2012; 185:435.
  2. Chest 2008;133:961.

投稿者プロフィール

明石 祐作 Yusaku Akashi, MD, PhD
あかし内科クリニック(大阪府柏原市)の副院長です。総合内科専門医、家庭医療専門医・指導医、救急科専門医、医学博士。診療所から大病院まで、色々な医療機関で研鑽してきました(現在も継続中)。「最初に何でも相談できる医者」を理想とし、日々診療しています。