症状や原因に合わせて選ぶー花粉症の最適な治療と予防


あかし内科

日本人の3人に1人が花粉症と言われています。
治療薬から舌下免疫療法まで解説します!

「国民病」の花粉症

花粉症にかかかっている人は3人に1人と言われています。中でもスギ花粉が最多、花粉症をわずらう人は段々と増えています。

花粉症は1年間の中で決まった季節にだけ症状がでます。

花粉症(季節性アレルギー)の原因

・ 樹木、草、雑草などの花粉

・ 高温多湿で発生するカビの胞子

花粉症は子供の時に発症することが多いです。花粉症の症状は時間とともに良くも悪くもなります。

季節によって原因となる植物は違います。当地の関西では、春先はスギ、夏はイネ、秋はブタクサなどの雑草が多いです。

原因となる植物と季節

花粉症と似た症状が1年中続く続く場合は以下のアレルギーを考えます。

1年中続くアレルギーの原因

  • カビの胞子
  • 猫や犬などの動物
  • ダニやゴキブリなどの昆虫類

花粉症のよくある症状

季節性アレルギーの症状は以下の通りです。

  • 鼻づまり、鼻水、くしゃみ
  • 目のかゆみや充血
  • のどや耳のかゆみ
  • 夜間に目が覚める、眠れずに日中疲れを感じる

検査は血液検査と皮膚検査

血液検査や皮膚テストでアレルギーの原因を特定できることがあります。

血液検査

IgEという抗体を測定します。IgEが陽性でもアレルギーでない場合があり病歴と合わせて結果を判断します。

アレルギーの原因が全く分からない場合には39種類を一度に調べる検査(View39)を行うことがあります。

View39パンフレットより

皮膚テスト

通常は皮膚科やアレルギーの専門病院で行います(当院では行っていません)。アレルギーの原因となる物質を皮膚に貼付けます。アレルギーがある場合は皮膚が赤く腫れる反応が出ます。

皮膚パッチテスト

治療法は症状に合わせて選ぶ

鼻洗浄

花粉を物理的に鼻から除去します。様々な研究で鼻づまりに効果があると報告されています。水道水は雑菌が入っていたり痛みが出ることがあるので、専用のキットがお勧めです。1日に1~2回、片方の鼻で200mL以上使って洗浄します。薬局や通販などで購入できます。

ステロイド点鼻薬

鼻づまりの治療にはステロイド鼻腔スプレーが最も効果的です(商品名:フルナーゼⓇ、アラミストⓇ、ナゾネックスⓇ、リノコートⓇ、エリザスⓇ)。効果はどの薬でも同じです。基本的に毎日使いますが、効果が出るまで数日かかることがあります。

鼻の症状には最も効果的

副作用はほとんどありません。においや味の感じ方に影響が出る、鼻が乾燥し鼻血が出ることがあります。通常は使う量を減らすことで副作用もおさまります。
飲み薬のステロイドと違い、点鼻薬は薬の量が少ないため使い続けても副作用はほとんど出ません。

※使用状況によっては耳鼻科での診察が必要な場合もあります。また、お子さんの場合は長期間使い続けると成長に影響する場合があります。年に2か月以上使う場合は主治医と相談が必要です。

抗ヒスタミン薬

目のかゆみ、くしゃみ、鼻水を抑える薬です。鼻づまりではステロイド点鼻薬より効果が劣ります。抗ヒスタミン剤を飲むとだるさや口の渇きを感じる場合があります。目の症状がひどい時には目薬を使います。

抗ヒスタミン薬の種類は沢山あります。どの薬も効果は同程度です。実験データから薬の効果を比較した解説もありますが、患者さんが実際に飲んだ時の効果を比較した研究は少ないです。薬との相性には個人差がありますので、効き目が少なければ別の種類を試すことがあります。

処方薬:アレジオンⓇ、アレグラⓇ、アレロックⓇ、クラリチンⓇ、ザイザルⓇ、デザレックスⓇ、ビラノアⓇ、ルパフィンⓇ

薬によっては飲むと運転できないもの、妊娠中は使えないものがあります。

色々な種類の飲み薬があります

抗ヒスタミン薬ー飲み薬の比較ー

商品名
(一般名)
回数運転♰備考
ザジテンⓇ
(ケトチフェンフマル酸塩)
1日2回×
アレグラⓇ
(フェキソフェナジン)
1日2回授乳中OK
妊娠中OK※
アレジオンⓇ
(エピナスチン)
1日1回
エバステルⓇ
(エバスチン)
1日1回
ジルテックⓇ
(セチリジン)
1日1回×妊娠中OK
ザイザルⓇ
(レボセチリジン)
1日1回×
タリオンⓇ
(ベボタスチン)
1日2回
アレロックⓇ
(オロパタジン)
1日2回×
クラリチンⓇ
(ロラタジン)
1日1回授乳中OK
妊娠中OK
デザレックスⓇ
(デスロラタジン)
1日1回授乳中OK
ビラノアⓇ
(ビラスチン)
1日1回
ルパフィンⓇ
(ルパタジンフマル酸塩)
1日1回×
※米国では問題なしと研究・報告されています。
♰運転について△:なるべく避ける、×:運転禁止

血管収縮薬

鼻づまりの症状を軽減する点鼻薬です(商品名:トラマゾリンⓇ、ナシビンⓇ、プリビナⓇ、コールタイジンⓇ)。高血圧などの持病がある方は使えません。3日以上続けて使用すると鼻づまりが悪化することがあります(薬物性鼻炎)。症状を改善するため短期間だけ使います。

鼻詰まりがひどい場合は血管収縮薬を数日使ってからステロイド点鼻薬を使います。血管収縮薬で鼻粘膜の腫れがひくとステロイド薬が奥まで届きやすくなります。

ロイコトリエン受容体拮抗薬

喘息の薬ですがアレルギーにも使います。鼻づまりでは抗ヒスタミン薬より効果的です。ステロイド点鼻薬より効果は落ちます。鼻詰まりが強いけれども鼻のスプレーが苦手、という方に用います。

  • プランルカスト(オノン
  • モンテルカスト(キプレス®、シングレア®

漢方薬

他のお薬と比べデータが少ないですが、副作用が少ないためよく処方します。

小青竜湯(ショウセイリュウトウ)が最もよく使われます。鼻水が粘っこい場合は、葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)、荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)、辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)を使うこともあります。

免疫療法

・皮下免疫療法

アレルギーの原因となる物質から作った薬を週1~2回皮下に注射し、花粉に対する反応を弱めていくという治療法です。 減感作療法ともいいます。免疫系がアレルギー原因物質に対する免疫系の反応が変わります。根本的に花粉症が治る可能性があります。

・舌下免疫療法
以前は注射しか免疫療法はありませんでしたが、舌下錠(舌の裏で溶かす薬)も同じような効果があるとわかりました。現在では一般的な治療法になりつつあります。スギ花粉やダニの成分を含む錠剤を毎日・3年以上飲み続けます(スギ花粉:シダキュアⓇ・シダトレンⓇ、ダニ:ミティキュアⓇ)。通院は月に1回程度です。

効果が出るまでに数ヶ月かかります。アレルギー症状の改善効果は高く、治療が終わった後でもアレルギーの薬を減らせたり完全に止めることができる場合があります(当院でも行っています)。

早めの内服が予防に効果的

花粉症が始まる1~2週間前から薬を開始するのが勧められています。また、舌下免疫療法は数年以上の予防効果があります。

アレルギーの原因を避けることも重要です。花粉症では以下のことが有効です。

  • 症状が出る時期はなるべく屋内にいる
  • 車や家の窓を閉めて、エアコンを使用する
  • 寝る前にシャワーを浴びて、髪や肌についた花粉を洗い流す
  • 外出時にはマスクを着用する

妊娠中でも使える治療薬

妊娠中には鼻炎の症状が良くなったり悪くなったりします。

妊娠後期に鼻がつまりやすくなります。これは妊娠性鼻炎と呼ばれ、ホルモンバランスに関係しています。アレルギーが原因ではないので花粉症に使うお薬は効果がありません

花粉症の治療で使うお薬は最小限にします。妊娠中でも花粉症の治療で安全に使える薬はあります。

1. 鼻うがい

薬を一切含んでいないので安全です。鼻の症状が軽い場合はお勧めします。

2. ステロイド点鼻薬

飲み薬よりも薬の量がかなり少なく、妊娠中でも比較的安心して使えます。
フルチカゾン(フルナーゼⓇ、アラミストⓇ)、 モメタゾン (ナゾネックスⓇ)は妊娠初期でも安全とされます。

3. 抗ヒスタミン薬

セチリジン(ジルテックⓇ)、ロラタジン(クラリチンⓇ)、クロルフェニラミン(ポララミンⓇ)は妊娠に影響しないとされます。フェキソフェナジン(アレグラⓇ)もデータはやや少ないですが問題ないと報告されています。

4. 免疫療法

妊娠前から免疫療法を問題なく続けられている場合は継続可能です。妊娠中は免疫療法の新規開始や薬の量の調整は行いません。

参考文献

International Consensus statement on Allergy and Rhinology (ICAR): Allergic rhinitis
Expert Opin Drug Saf. 2014 Dec; 13(12): 1667–1698.
Eur Arch Otorhinolaryngol. 2018 Feb;275(2):325-333.