その頭痛は片頭痛?片頭痛の特徴と改善する方法

片頭痛は女性に多い病気

片頭痛は大人も子供もなります。女性に多い病気です。最初は軽い頭痛でも、だんだんとひどくなることがあります。

症状は頭痛・吐き気・光や音がつらい

片頭痛の症状には以下のようなものがあります。

・頭痛
数時間かけて悪化し、通常はズキズキとした痛みがあります。頭の片側だけが痛むことが多いです。

・吐き気、時に嘔吐

・光や音に敏感になる
静かで暗い部屋で横になると楽になります。

・前兆
片頭痛は “前兆 “が出ることもあります。前兆とは、片頭痛の前や最中に起こる症状のことです。15分から30分程度続くことが多いとされます。
前兆では視覚に影響がでることが多く、チカチカ、ジグザグの線、ギザギザが見えたり、視界の一部が欠けたりすることがあります。
以下は、前兆を再現したビデオです。

前兆ではその他に唇や顔の下部、片方の手の指にしびれがでることもあります。音や耳鳴りが聞こえることもあります。
前兆のある片頭痛がある場合は避妊薬を服用できません。避妊薬は脳卒中のリスクを高める可能性があります。

頭痛の数時間~1日前からあくび、気分の落ち込み、イライラ、食欲不振、便秘、首のこりなどの症状が出ることもありますが、前兆と区別して”予兆”といいます。

片頭痛は症状と経過で診断

片頭痛を診断するための検査はありません。症状や頭痛の経過から片頭痛を診断します。

片頭痛が改善する生活習慣

特定の食べ物や行動が原因となり、片頭痛がでる場合があります。

“頭痛カレンダー “を記録すると、片頭痛の原因となる食べ物や行動を把握できます。頭痛カレンダーには、片頭痛が起きる前に何を食べたか、何をしたかを記録します。また、どんな薬を飲んだか、薬が効いたかどうかも記録します。

片頭痛を起こす生活習慣には、次のようなものがあります。

  • ストレス
  • ホルモンバランスの変化
  • 食事を抜く、十分に食べない
  • 天候の変化
  • 睡眠時間が長すぎる、または短すぎる
  • まぶしい光、点滅する光
  • アルコールを飲む
  • 赤ワイン、熟成チーズ、ホットドッグなど特定の飲み物や食べ物

リラクゼーションやストレス管理も有効です。

生理前や生理中に片頭痛が起こる場合は飲み薬が効果的です。

痛み止めは飲みすぎで頭痛が悪化することも!
続く場合は医師に相談を

片頭痛の発作ではまず痛み止めを使います。よくならないときはトリプタンという片頭痛用の薬を使います。

・軽い片頭痛の場合

アセトアミノフェン(商品名:カロナール®)やNSAIDsといった痛み止めを使います。

NSAIDsにはいろいろな種類があります。
– ロキソプロフェン(商品名:ロキソニン®)
– イブプロフェン(商品名:ブルフェン®)
– ナプロキセン(商品名:ナイキサン®)など

・強い片頭痛の場合
トリプタン
という片頭痛用の薬を使います。

トリプタンにはいろいろな種類があります。
– スマトリプタン(商品名:イミグラン®)
– ナラトリプタン(商品名:アマージ®)
– ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミッグ®)
– リザトリプタン(商品名:マクサルト®)
– エレトリプタン(商品名:レルパックス®)など。

予防薬として、片頭痛の発作の頻度を減らす薬もあります(後半の詳細な説明を参照ください)。

また、片頭痛に伴ってひどい吐き気や嘔吐がある場合は、メトクロプラミド(商品名:プリンペラン®)を使うこともあります。

片頭痛が頻繁に起きる場合は医師にご相談ください。自力で治そうと市販の痛み止めを飲み続けると、後で頭痛がよりひどくなる場合があります。

妊娠したい場合や妊娠中は薬の調整が必要

片頭痛の治療や予防に使われる薬の中には妊娠中に使えないものもあります。妊娠前に薬の変更が必要な場合もあります。

妊娠中や授乳中に片頭痛が良くなることがありますが、体内のホルモンの変化に関係しています。


後半は詳細な説明です。前半よりもかなり詳しい内容になります。

片頭痛の詳しい説明

典型的な片頭痛では予兆→前兆→頭痛(他の症状を伴うこともあります)と症状が変化します。予兆や前兆はないこともあります。

予兆:頭痛の24~48時間前からあくび、ふわふわした感じ、落ち込み、イライラ、食欲不振、便秘、肩こりがでます。

前兆:片頭痛患者の約4人に1人に前兆がでます。頭痛の前に光が見える、視界が欠ける、ジグザグの線、片方の手の指、唇、舌、顔の下の方がしびれるといった症状がでます。一時的に力が入らなかったり、言葉が出づらくなったりすることもあります
前兆は通常5~20分程度で60分以上続くことはめったにありません。通常は前兆が終わってすぐに頭痛が始まります。前兆だけで頭痛がないこともあります。

頭痛:片頭痛は始まってから1時間~数時間かけて強くなります。頭の片側だけが痛むのが典型的です。ズキズキとした痛みや脈打つ感じ(拍動性)の痛みが出ます。頭痛は数時間~72時間続きます。

片頭痛は光、緊張、運動、頭の動きで悪化します。暗くて静かな部屋で横になると頭痛がましになります。

その他の症状 – 片頭痛は吐き気や嘔吐、光や音に敏感になる症状を伴うことがあります。触覚が非常に敏感になり、日常動作(髪をとく、ひげを剃る、コンタクトレンズを入れる)をつらく感じることがあります。

片頭痛がでやすくなる要因

片頭痛は、ストレス、運動、疲労、睡眠不足、空腹、におい、化学物質、内服薬で起こりやすくなります。女性は月経前に片頭痛が起こることがあります。エストロゲンの低下が原因とされます。

頭痛ダイアリー

頭痛が続いた時間、場所、強さ、頭痛が起こる前にしたこと、食事内容、治療に反応したかどうかを記録します。片頭痛が良くなったり悪くなったりするきっかけが分かります。

頭痛ダイアリーには、頭痛が起こるたび、頭痛が起こる前に何を食べたか、何をしたかを記録しておきます。記録を見返すことで、控えた方がいい食事や行動があるかを把握できることがあります。どんな薬を飲んだか、それが効いたかどうかも書き留めておくと、治療に役立ちます。

片頭痛の治療(急性期と予防的治療)

治療は頭痛の起きる回数、強さ、症状によって異なります。何度も片頭痛が起こる人では急性期治療と予防的治療の両方が必要です。

急性期治療:片頭痛が起きた時すぐに痛みを和らげるため使う薬
予防的治療:片頭痛が起きる回数を減らすための薬

急性期治療

頭痛が出たら早めにお薬を服用するのが大切です。毎回のように前兆がある場合は前兆が出た時点で薬を服用してください。前兆がない場合は頭痛が始まってすぐに薬を服用してください。

1. 鎮痛剤(痛み止め)

片頭痛でよく使われる鎮痛剤

アスピリン
アセトアミノフェン(商品名:カロナール‎Ⓡ)。
非ステロイド系抗炎症薬
 イブプロフェン(商品名:ブルフェン‎Ⓡ)
 ナプロキセン(商品名:ナイキサンⓇ)
 ロキソプロフェン(商品名:‎ロキソニンⓇ)

胃炎(胃の炎症)、胃潰瘍、腎臓病、出血性疾患のある場合、アスピリンや非ステロイド系抗炎症薬を服用できません

処方薬では座薬もあります。片頭痛の際に吐き気で口から薬を飲めない人に適しています。カフェインを配合した鎮痛剤も片頭痛に効果的です(薬局で購入できます)。

鎮痛剤は軽度~中等度の片頭痛発作でまず最初に使います。しかし、あまり頻繁に使用すると、薬の使いすぎによる頭痛を起こす可能性があります。服用回数は週に1~2回(月9日以内)が目安です。

2.トリプタン系製剤

鎮痛剤(痛み止め)で頭痛が治まらない場合、片頭痛に特化した治療薬を使います(単に痛みを抑えるのではなく、片頭痛が発生するメカニズムを止める)。トリプタンと呼ばれる薬が最もよく使われます。

片頭痛の特効薬!トリプタン系製剤

スマトリプタン(商品名:イミグランⓇ)

ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミッグⓇ)

ナラトリプタン(商品名:アマージⓇ)

リザトリプタン(商品名:マクサルトⓇ)

エレトリプタン(商品名:レルパックスⓇ)

トリプタンは飲み薬(錠剤)です。また、スマトリプタンとゾルミトリプタンは鼻腔スプレーとして、スマトリプタンは注射剤としても利用できます。薬の使い過ぎによる頭痛を避けるため、週に1~2回(月9日以内)以内の使用が目安です。

妊娠中の女性、片麻痺性片頭痛(片側の筋力低下を伴う頭痛が発生するまれな疾患)、脳底型片頭痛、治療していない高血圧、心臓疾患や脳卒中の既往がある人では、トリプタンは使用できません。

3. 吐き気止め

片頭痛で吐き気や嘔吐がある場合は吐き気止めを使うことがあります。メトクロプラミド(商品名:プリンペランⓇ、テルペランⓇ、エリーテンⓇ)、クロルプロマジン(商品名:ウィンタミンⓇ、コントミンⓇ)がよく使われます。

4. エルゴタミン

トリプタンほどの効果はありませんが、片頭痛の治療薬として使われます。

使用頻度は低いですが、片頭痛が長引く人(48時間以上)に使うことがあります。エルゴタミン(商品名:クリアミンⓇ、ジヒデルゴットⓇ、パンエルゴットⓇ、ヒポラールⓇ)は錠剤で、カフェインと併用します。

高血圧、冠動脈疾患、腎臓や肝臓に疾患のある人では使用できません。また、トリプタン系製剤との併用はできません。

5 .デキサメタゾン

ステロイド薬です。他の片頭痛治療薬と一緒に服用すると再発のリスクを減らすことができます。最初から使うことはほとんどありません。

予防的治療

片頭痛の頻度を減らす治療です。効果を実感できるまでに数週間かかります。通常、少ない量から始めゆっくりと量を増やしていきます。

予防的治療は片頭痛が頻繁な方や症状が重い方に勧められています。急性期治療と予防的治療の両方が必要にな場合があります。

・ライフスタイル (生活様式) の変更

1. 睡眠衛生の改善

  • 就寝時刻と起床時刻を一定にする
  • 十分に睡眠をとる
  • 寝る前のカフェイン・アルコール・喫煙をひかえる
  • 寝る直前に携帯電話を見ない

2. 健康的な食事を毎日同じ時間帯にとる

3. 適度な運動

4. 片頭痛の引き金となる原因を避ける

・薬の使いすぎによる頭痛を避ける

鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAIDs)やトリプタンを使いすぎると、薬の使いすぎによる頭痛(リバウンド頭痛)が起こる可能性があります。頻繁な頭痛→薬の量が増える→さらに頭痛が起こる、と悪循環に陥ります。

予防薬を使う

1. β遮断薬
もともとは高血圧や不整脈の治療薬ですが片頭痛の予防にも使います。通常はプロプラノロール(商品名:インデラルⓇ)を使います。βブロッカーはうつ病やインポテンツを起こす可能性があります。

2. 抗うつ薬
片頭痛の予防薬としてアミトリプチリン(商品名:トリプタノールⓇ)、ノルトリプチリン(商品名:ノリトレン)が使われます。アミトリプチリンは片頭痛予防に効果があると証明されていますが、他の三環系抗うつ薬のデータはあまりありません。

三環系抗うつ薬は眠気が出ることが多いため就寝時に服用します。その他の副作用は、口の渇き、便秘、動悸、体重増加、目のかすみ、尿閉があります。高齢者では意識がおかしくなることがあります。

3. 抗てんかん薬
バルプロ酸(商品名:デパケンⓇ)が片頭痛の予防に有効です。

バルプロ酸は体重増加や脱毛が起こることがあります。思考力や集中力が低下することもあります。

妊娠中または妊娠の可能性がある女性は、先天性異常の可能性があるためバルプロ酸は服用できません。

4. CGRP拮抗薬
痛みの伝達を遮断する薬で、一般的にはβ遮断薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などの予防薬で改善しない場合に使用されます。様々な研究で効果が証明されています。エレヌマブ(商品名:アイモビーグⓇ)、フレマネズマブ(商品名:アジョビⓇ)、ガルカネズマブ(商品名:エムガルティⓇ)があります。いずれも注射のお薬です。

副作用には便秘(エレヌマブ)や注射部位の痛み・腫れ・発疹があります。
とても高額な治療です(例:3割負担・薬代だけで1月あたり12,000~13,000円以上)。

自己注射します

5. カルシウム拮抗薬

ロメリジン(商品名:ミグシスⓇ)、ベラパミル(商品名:ワソランⓇ)を使います。時間の経過とともに効果がなくなることがあります。薬の量を増やしたり、別の薬に変えたりすることで改善できることがあります。

6. 漢方薬
過去の診療経験から有効とされています。日本神経学会・日本頭痛学会監修の「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」では以下が推奨されています。

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、桂枝人参湯(けいしにんじんとう)、釣藤散(ちょうとうさん)、葛根湯(かっこんとう)、五苓散(ごれいさん)

7. ボツリヌス毒素
A型ボツリヌス毒素(商品名:ボトックス)で筋肉を一時的に麻痺させます。慢性片頭痛(毎月15日以上症状が続く頭痛)に効果的とされます。
他の薬を試しても効果がない場合のみ行います。自費診療として一部の医療機関で行われています。

月経関連片頭痛

月経開始前後(通常、月経開始の2日前から3日後)に起こる片頭痛です。生理前のエストロゲンレベルの低下が原因とされます。他のタイプの片頭痛に比べ、月経関連片頭痛は症状が長い・重い・治療が効きづらい傾向があります。

月経関連片頭痛のある女性では、月経と関係のない片頭痛が起こることがあります。月経関連片頭痛はほとんどの場合で片頭痛の前兆はありませんが、他の時期の片頭痛では前兆がある場合があります。

・治療

急性期治療は他の片頭痛の場合と同じです。

月経関連片頭痛の予防的治療には、1. ホルモンを使わない治療(非特異的治療)、2. ホルモン剤を使う治療(特異的治療)があります。

  1. 非特異的治療
    月経周期が一定で片頭痛が起きる時期が予測できる場合に有用です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やトリプタン系製剤を5~7日間内服します。
    また、通常の片頭痛と同じような予防的治療を行うこともあります。妊娠や授乳に影響する薬もあるため、慎重に適応を判断する必要があります。
  2. 特異的治療(ホルモンを用いた治療)
    経口避妊薬を長期間服用する方法や、月経の直前と月経中に服用する方法があります。片頭痛の原因となる月経前のエストロゲンレベルの低下を防ぐことで効果を発揮します。通常は婦人科と共同で診療します。

参考文献

Nature Reviews Neurology 2021;17:501–514.