「痛風予防のカギ」尿酸値管理の重要性と正しい方法

尿酸値の正常値は”7未満”

尿酸値が高いと痛風や腎臓病のリスクになります。尿酸値は血液検査で測定し、7.0 mg/dL未満が正常です。尿酸値と基礎疾患の両方を考慮し、薬での治療が必要か判断します。治療を始める上で、痛風発作を起こしたことがあるか、腎臓病や心臓病などの合併症があるか、がとても重要です。

治療が必要な尿酸値は？

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第３版より¹

尿酸値が十分に下がっても痛風発作をくり返す場合、GlycA（アセチル化グリコプロテイン）という炎症のバイオマーカーが上昇していることがあります²。現時点では実用化されていませんが、将来的には測定が一般的になるかもしれません。

痛風の症状は？

痛風になると、突然のひどい痛みを感じます。足の親指の付け根、足首、膝などの関節に痛風発作は出やすく、痛みが出て赤く腫れます。通常は1つの関節だけに痛みや腫れがでますが、複数の関節に痛風発作が出る方もいます。痛風の発作は夜間に起きやすいとされます。

痛風の痛みは非常に激しく、発作の最初が最も強くなります。発作後、数日から数週間で症状は改善します。

痛風の検査は？

典型的であれば、症状と血液検査（尿酸高値）で診断します。診断がむずかしい場合、関節に注射をして関節液を採取することもあります。

痛風の治療法は？

痛風発作が起こったときはまず、関節を安静にして氷で冷やします。

治療薬を痛風の発作が始まってすぐに服用することも大切です。痛風発作の治療薬は、以下のものがあります。

●NSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）：インドメタシン（インテバン）、ナプロキセン（ナイキサン）、オキサプロジン（アルボ）、プラノプロフェン（ニフラン）などがあります。NSAIDsは、腎臓や肝臓の病気がある人、胃潰瘍がある人、血が止まりづらい病気のある人では副作用が出る場合があります。

●コルヒチン：痛風の治療薬・予防薬どちらにも使います。下痢や吐き気がでることがあります。

●ステロイド：腫れや痛みを軽減します。ステロイドは錠剤または注射で使います。

痛風の発作は繰り返すことがあります。手元に治療薬を置いておくことも検討ください。

痛風発作を予防する薬は？

痛風発作を繰り返すと関節が変形してしまうことがあり、予防がとても大切です。予防には尿酸値を下げるお薬を服用します。

尿酸値を下げる薬として、以下のお薬がよく使われます。

●アロプリノール（ザイロリック）

●フェブキソスタット（フェブリク）

●プロベネシド（ベネシッド）

痛風を起こしたことがある場合、尿酸値は6 mg/dL未満が目標です。

尿酸値が変動するときに痛風発作が起きやすくなります。そのため、尿酸値を下げる薬を開始してまもなく、痛風発作が出てしまう場合があります。発作を防ぐために、尿酸値を下げる薬を開始する際にコルヒチンを低用量で併用します。

痛風発作が起こった場合でも、通常どおりの毎日の薬を続けて服用することが重要です。

痛風発作を予防する生活習慣は？

痛風発作に良い食べ物

果物、野菜、全粒穀物、低脂肪の乳製品を中心とした、バランスの良い食事が最も大切です。肥満の場合はダイエットをする、水分をしっかりとって脱水に注意する、といったことも意識してください。

ビタミンCや乳製品（ヨーグルトなど）の摂取で尿酸値が下がる可能性があります。ただ、乳製品（特に脂肪を含んだもの）はとりすぎるとガンや心臓病などの危険が高くなります。

大阪大学が2022年、「コーヒーは痛風発作を予防する」と報告しました。コーヒーを定期的に飲むと、尿酸値は下がらないにも関わらず、痛風発作が減少したそうです。今後の検証は必要ですが、食事療法の一つとして期待できます。

痛風発作で避けたほうがよい食べ物

痛風発作の予防では、糖分の多い飲み物やアルコールは痛風発作を悪化させる可能性があります。

プリン体の制限の多い食品を摂りすぎると、尿酸値が上がります。「プリン体の摂取量を制限しても痛風発作はあまり予防できない」という報告もありますが、適量を守ることは大切です。このページ最後の「食品ごとのプリン体含有量」を参考にしながら、プリン体を取り過ぎないよう意識してください。

付録：食品中のプリン体含有量³

１日のプリン体の目安摂取量：400 ㎎

参考文献

1. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第３版 ↩︎
2. Arthritis Rheumatol. 2023 Apr 12. doi: 10.1002/art.42523.  ↩︎
3. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版 ↩︎

投稿者プロフィール

明石 祐作 Yusaku Akashi, MD, PhD

あかし内科クリニック（大阪府柏原市）の副院長です。総合内科専門医、家庭医療専門医・指導医、救急科専門医、医学博士。診療所から大病院まで、色々な医療機関で研鑽してきました（現在も継続中）。「最初に何でも相談できる医者」を理想とし、日々診療しています。

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