「最近、体のあちこちが痛む…」

「朝起きた時、関節がこわばって動かしにくい…」

このような関節の痛みや違和感は多くの人が経験する身近な悩みですが、その原因は多種多様です。放っておくと日常生活に支障をきたすだけでなく、深刻な病気のサインである可能性もあります。今回は、関節痛について詳しく解説していきます。

こんな症状があったら要注意!

関節痛の症状は原因によって様々ですが、以下のような症状がある場合は早めの受診を検討してください。

要注意サイン!

  • 痛みが強く関節を動かしにくい
  • 発熱や寒気がある
  • 関節が赤く腫れてたり、熱を持っている
  • 朝起きた時に関節がこわばる
  • 発熱、倦怠感、体重減少、食欲不振など、体の他の部分にも不調がある

関節痛の考えられる原因

関節痛の原因は、痛む関節の数によって異なります。

痛い関節が一つだけの場合

  • けがや運動のし過ぎ
  • 痛風: 食べ物や飲み物に含まれる尿酸が関節にたまって起こる病気です。足の親指の付け根が痛くなることが多いですが、他の関節にも起こることがあります。
  • 感染症: まれですが、関節に細菌が感染すると手術が必要になることもあります。早めの受診が大切です。

痛い関節が複数の場合

大きく分けると、関節そのものに炎症が起こる場合と、関節以外の場所に原因がある場合があります。

  • 関節に原因がある場合(膠原病: こうげんびょうの可能性があります)
    • ウイルス感染症: パルボウイルス、HIV、肝炎ウイルスなど一部のウイルスが原因となります。
    • 細菌感染症: 淋菌(りんきん)や感染性心内膜炎は、1つ以上の関節に炎症を起こすことがあります。
    • 関節リウマチ: 複数の関節が左右対称にはれて、痛みが続きます。進行すると関節が変形し、日常生活に支障が出ることもあります。
    • 強直性脊椎炎: 主に背骨や骨盤の関節に炎症が起こり、腰や背中の痛み、こわばりが続きます。
    • 乾癬(かんせん)性関節炎: 皮膚に赤い発疹やかさぶたを伴う「乾癬(かんせん)」という病気がある人に起こりやすい関節の炎症です。
    • 全身性エリテマトーデス(SLE): 様々な臓器に炎症を起こす病気で、関節痛以外にも発熱や倦怠感、皮膚の発疹などを伴うことがあります。
  • 関節以外の場所に原因がある場合
    • 変形性関節症: 加齢や使いすぎで関節の軟骨がすり減り、痛みが起こります。膝や股関節、手指の関節などに多いです。
    • 線維筋痛症(せんいきんつうしょう): 体の広い範囲に痛みを感じ、強い疲労感や睡眠の質の低下などを伴います。関節痛以外にも、頭痛やお腹の不調、気分の落ち込みなどを伴うこともあります。
    • 腱鞘炎や滑液包炎: 関節の周りにある腱や滑液包(関節をスムーズに動かすためのクッションのような組織)に炎症が起こり、痛みが生じます。
    • 甲状腺の病気: 甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、全身の代謝が悪くなり、関節痛や筋肉痛、むくみなどを引き起こすことがあります。
    • 神経の病気: 糖尿病や帯状疱疹などの神経の病気によって、関節の痛みやしびれ、熱く感じるなどの異常な感覚が生じることがあります。

関節痛の診断や検査の方法

関節痛の原因を特定し、あなたに合った治療法を見つけるためには、医師による丁寧な問診と身体診察が欠かせません。

  • 問診
    • いつから痛み始めたのか、どの関節が痛むのか、どんな痛み方をするのかなど、詳しくお話を伺います。
    • 過去にかかった病気やケガ、現在飲んでいる薬についてもお聞きします。
    • 生活習慣や家族に同じような症状の人がいないかなどもお尋ねします。
    • 発熱や倦怠感、皮膚の変化など、他の症状についても確認します。
  • 身体診察
    • 痛む関節を実際に触ったり動かしたりして、腫れや熱感、圧痛、動きの範囲などを確認します。
    • 皮膚の状態やリンパ節の腫れ、心臓や肺の音などをチェックします。

これらの情報をもとに、必要に応じて血液検査や画像検査(レントゲン、MRI、超音波など)、関節液の検査などを行います。

まとめ

関節痛の治療法は原因によって全く異なりますので、受診したうえで適切に診断と治療を行うことが重要です。症状を和らげて快適な日常生活を送るため、一人で悩まず、まずは相談してみましょう。

投稿者プロフィール

明石 祐作 Yusaku Akashi, MD, PhD
あかし内科クリニック(大阪府柏原市)の副院長です。総合内科専門医、家庭医療専門医・指導医、救急科専門医、医学博士。診療所から大病院まで、色々な医療機関で研鑽してきました(現在も継続中)。「最初に何でも相談できる医者」を理想とし、日々診療しています。