めまいとは

「めまい」は特定の病名ではなく、さまざまな原因で起こる症状の総称です。感じ方は大きく三つのタイプに分けられます [1]。

  • 回転性めまい — 自分や周囲がぐるぐる回る感じ。内耳や前庭神経の問題で起こることが多い。
  • 立ちくらみ(前失神感) — 立ち上がった瞬間にクラッとする感じ。血圧の変動や脱水、貧血、薬の影響などが背景になりやすい。
  • ふわふわ感(浮動性めまい) — 雲の上を歩くような不安定な感じ。耳・脳・心疾患・薬剤・心理的要因など、原因は多岐にわたる。

どのタイプかによって疑う原因の方向性が変わるため、ご自身の感じ方を言葉にしておくと、受診時に役立ちます。

この記事のポイント

1. めまいの感じ方(回転性・立ちくらみ・ふわふわ)で、考えやすい原因の方向性が変わる。

2. ほとんどは良性だが、まれに脳卒中や心臓の病気など緊急性の高い原因が隠れていることがある [1]。

3. 症状が重い場合や神経症状を伴う場合は、すぐに救急受診が必要。

4. 原因を一つに決めつけず、見逃したくない病気をまず除外する姿勢が大切。

考えられる主な原因

めまいの原因は耳だけとは限りません。循環器・脳神経・代謝・薬剤など幅広い領域にまたがります。ここでは緊急度と頻度の両面から整理します。

緊急度が高い原因

頻度は高くありませんが、見逃すと重大な結果につながるため、まず除外を考えます [1]。

  • 脳卒中(脳梗塞・脳出血)・一過性脳虚血発作(TIA)・くも膜下出血 — 突然のめまいに、頭痛、顔のしびれ、片側の脱力、ろれつ困難、視野の異常などの神経症状を伴う場合に疑います。神経症状がはっきりしない場合でも否定はできません [1]。
  • 心原性(不整脈・急性心疾患) — 動悸、胸痛、失神、冷や汗を伴う場合は心臓の評価が必要です [2]。

比較的よくある原因

  • 良性発作性頭位めまい症(BPPV) — 頭を動かしたときに数秒〜1 分未満の回転性めまいが起こり、じっとしていると治まるのが特徴です。めまいの原因として最も多い疾患の一つです [3]。
  • メニエール病 — 20 分〜12 時間程度のめまいに、耳鳴り・耳閉感・難聴が伴う場合に候補になります。発作を繰り返す傾向があります [4]。
  • 前庭性片頭痛 — 反復するめまいが 5 分〜72 時間続き、片頭痛の既往や光過敏・音過敏を伴う場合に考えます [5]。
  • 起立性低血圧 — 立ち上がった時にクラッとする。脱水、降圧薬、自律神経の問題などが背景にあることが多い [6]。
  • 貧血・低血糖 — 慢性的なふらつきや立ちくらみの原因として見落とされやすい。
  • 薬剤性 — 降圧薬、利尿薬、抗不安薬、抗てんかん薬など、さまざまな薬がめまいの原因になることがあります [6]。
  • 前庭神経炎 — 風邪のあとなどに突然強い回転性めまいが起こり、数日〜数週間かけて徐々に改善します。

受診の目安

以下のような場合は、まず一般内科でご相談ください。

  • 初めてのめまいで不安が強い、数日以内に繰り返す、日常生活や仕事に支障がある。
  • 立ち上がる時に悪化する、発熱・下痢・食欲低下のあとに出た、新しい薬を始めてから出た、動悸や息切れを伴う — 脱水・貧血・低血圧・薬剤性・不整脈などを確認するため、早めの受診をお勧めします [2][6]。
  • 頭の位置を変えた時に短い回転性めまいを繰り返す、耳鳴り・難聴・耳閉感を伴う — 耳鼻科への紹介も見据えて、まず内科で入り口の整理をします [3][4]。
  • 吐き気が強く水分が取れない、歩くとふらついて転びそう、数時間以上続いて改善しない — 当日中の受診をお勧めします。

症状が軽い場合でも、判断に迷ったら #7119(救急安心センター) に電話して相談できます [7]。

緊急受診が必要な症状

以下の症状がある場合は、迷わず 119 番通報または救急外来を受診してください[1][8]。

迷わず救急受診!

  • 突然の激しい頭痛
  • 支えなしで立てないほど急にふらつく
  • 顔半分のしびれ
  • 突然の片腕・片脚の脱力
  • ろれつが回らない
  • 見える範囲が急に狭くなる
  • 急に周りが二重に見える
  • めまいと一緒に失神、意識がもうろうとする
  • 強い胸痛、急な息切れや呼吸困難、冷や汗を伴う
  • 吐き気や嘔吐が強く水分が取れない
  • 症状が急速に悪化する、歩けない

当院でできること

当院では、めまいでお困りの方の初期評価を行っています。

問診での確認事項

めまいの始まり方、持続時間、きっかけ、頭の位置との関係、耳の症状、頭痛、感染症状、失神の有無、持病や内服薬などを丁寧に整理します。

診察・検査

血圧・脈拍・酸素飽和度の測定、起立時の血圧変化、神経所見、歩行の安定性を確認します。必要に応じて心電図で不整脈の手がかりを探したり、貧血・低血糖・脱水・電解質異常・腎機能・甲状腺機能などを調べる血液検査を行います [2]。

治療と専門科への橋渡し

大部分の方はお薬の服用で症状が改善しますので、当院で治療できます。

一部の方とはなりますが、脳卒中が疑われる場合は救急へ、長く続くめまいで原因がわからない場合や失神・心電図異常を伴う場合は専門機関へご紹介することもあります。最初の原因の整理と治療、適切な振り分けをお手伝いします。

よくある質問

めまいがあったらまず何科を受診すればいい?

原因が特定されていない段階では、まず一般内科で全体像を整理するのが効率的です。必要に応じて耳鼻科や脳神経内科にご紹介します。

めまい止めの薬を飲めば大丈夫?

めまい止めは症状の緩和には役立ちますが、原因に応じた対応が必要です。自己判断で市販薬だけに頼り続けるのは避け、一度は医療機関で原因を確認しておくことをお勧めします。

頭を動かすとめまいがするけど、脳の病気?

頭の位置を変えた時だけ短い回転性めまいが起こり、神経症状がなければ BPPV(良性発作性頭位めまい症)の可能性が考えられます [3]。ただし自己判断で決めつけず、一度は受診して確認しましょう。

めまいは何日続いたら危険?

日数だけで危険性は決まりません。突然強いめまいが出た、神経症状や胸痛、息切れを伴う、歩けない、水分が取れない場合はその時点で救急評価が必要です [1][8]。一方、数時間以上続いて改善しない、数日以内に繰り返す、日常生活に支障がある場合も、早めに内科で相談するのが安心です [2]。

参考文献

  • [1] GRACE-3: Acute dizziness and vertigo in the emergency department. Acad Emerg Med. 2023. PMID: 37166022
  • [2] 2017 ACC/AHA/HRS Guideline for the Evaluation and Management of Patients With Syncope. J Am Coll Cardiol. 2017. PMID: 28286221
  • [3] Clinical Practice Guideline: Benign Paroxysmal Positional Vertigo (Update). Otolaryngol Head Neck Surg. 2017. PMID: 28248609
  • [4] Clinical Practice Guideline: Méniere's Disease Executive Summary. Otolaryngol Head Neck Surg. 2020. PMID: 32267820
  • [5] Vestibular migraine: Diagnostic criteria. J Vestib Res. 2022. PMID: 34719447
  • [6] Orthostatic Hypotension in Adults With Hypertension: A Scientific Statement From the American Heart Association. Hypertension. 2024. PMID: 38205630
  • [7] 厚生労働省「大人の症状は#7119」https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/7119.html
  • [8] 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/urgency.html

ご相談・予約

めまいが気になる方、繰り返すめまいでお悩みの方は、当院にご相談ください。問診・診察で原因の方向性を整理し、必要に応じて専門科へご紹介します。お電話またはウェブからご予約いただけます。

投稿者プロフィール

明石 祐作 Yusaku Akashi, MD, PhD
あかし内科クリニック(大阪府柏原市)の副院長です。総合内科専門医、家庭医療専門医・指導医、救急科専門医、医学博士。診療所から大病院まで、色々な医療機関で研鑽してきました(現在も継続中)。「最初に何でも相談できる医者」を理想とし、日々診療しています。