朝起きた時に、まだ疲れが残っている、あるいは仕事や家事に集中できないと感じたことはありませんか?
その倦怠感(だるさ)、もしかすると体からの重要なサインかもしれません。単なる疲労ではなく、放置すると深刻な健康問題につながる可能性があります。この記事では、倦怠感の原因や病院を受診すべきタイミング、検査の重要性について解説し、症状を軽減するための具体的な対策もご紹介します。
病気のサインかも? - 見過ごすと危険な倦怠感(だるさ)
倦怠感(だるさ)が出てもあまり気にしないで過ごす方は多いですが、以下のような症状がある場合は要注意です。
受診が必要な倦怠感(だるさ)
- 6ヶ月以上続く
- 休んでも改善しない
- 日常生活が難しいほど症状が強い
- 息苦しさがある
- 発熱や体重減少がある
- 気分の落ち込みが続く
- 眠れない
倦怠感が続くと集中力の低下や物忘れが増え、気分の落ち込みや不安感を感じることも少なくありません。日常生活に大きな支障をきたし、心身ともにバランスを崩すこともあります。
病気のサインかも?倦怠感(だるさ)の原因
倦怠感(だるさ)を起こす原因は非常に多岐にわたります。ここでは、その代表的な要因を挙げて説明します。
貧血
女性では倦怠感(だるさ)の原因として最多です。貧血はゆっくりと進行するため、体が倦怠感(だるさ)に慣れてしまい、あまり症状を自覚していない方もいます。
内分泌(ホルモン)の異常
特に甲状腺機能に注意が必要です。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)・甲状腺機能低下症(橋本病)のどちらも倦怠感(だるさ)の原因となります。甲状腺ホルモンはエネルギー代謝を調整する重要な役割を果たしており、その分泌に異常があると倦怠感(だるさ)を引き起こします。
糖尿病もかなり悪化した場合は倦怠感(だるさ)の原因になることがあります。
心肺機能の低下
心不全や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など肺や心臓の病気も、倦怠感(だるさ)の原因となります。体に十分な酸素を供給できず、体全体がエネルギー不足に陥り、倦怠感(だるさ)が付きまとうようになります。
電解質(ミネラル)の異常
腎臓病やお薬(ビタミンDでのカルシウムなど)の影響で、電解質異常があると倦怠感(だるさ)の原因となる場合があります。ナトリウムやカルシウムが特に重要です。
感染症
一部の感染症、特に伝染性単核球症、ウイルス性肝炎、新型コロナウイルス(COVID-19)は回復後も長期間にわたり倦怠感(だるさ)を引き起こすことがあります。原因の一つとして、免疫システムが長期間にわたり疲弊することが考えられています。
精神的ストレス
倦怠感(だるさ)は、うつ病や不安障害と深く関連しています。精神的なストレスは、体内のホルモンバランスを崩し、全身のエネルギー効率を悪化させます。ストレスの蓄積が慢性的な倦怠感(だるさ)を悪化要因となるケースも多いです。
薬の副作用
お薬によっては、副作用として疲労感を引き起こすことがあります。もし現在服用している薬が原因かもしれないと感じた場合は、医師に相談しましょう。
倦怠感(だるさ)を検査する - 自己診断ではなく医師に相談を
倦怠感(だるさ)の原因を探るには、詳細な評価が必要です。まず、血液検査で電解質・内分泌・貧血などの評価を行います。必要に応じて、心肺機能の検査などを行います。
さらに、精神的な評価も重要です。倦怠感(だるさ)は、うつ病や不安障害と深く関連しているため、必要に応じて精神科・心療内科を受診することが推奨されます。自己判断で適切な治療を逃さないためにも、専門的なサポートを受けることが重要です。
治療は診察や検査の結果を踏まえ、個別の原因に応じた対策が必要です。ß
日常生活でできる、具体的な倦怠感(だるさ)の改善策
日常生活の中でも、慢性疲労を改善するために取り入れられる対策がいくつかあります。
1. 規則正しい睡眠の確立
毎日決まった時間に寝起きすることが重要です。特に、寝る前のルーチンを作ることで、深い睡眠を促進し、翌朝の倦怠感(だるさ)を軽減します。
2. 栄養バランスを整えた食生活
ビタミンB群やマグネシウム、亜鉛が豊富な食品を積極的に摂取しましょう。これらの栄養素はエネルギー代謝を助け、体内の回復力を高めます。また、加工食品や過剰な糖分は倦怠感(だるさ)を悪化させるため、控えることが重要です。
3. ストレスマネジメント
瞑想やヨガ、趣味を通じてストレスを軽減することが、倦怠感(だるさ)の改善に役立ちます。日常の中でリラックスできる時間を確保し、心身のバランスを保つようにしましょう。
4. 運動を無理なく取り入れる
ウォーキングや軽いストレッチを日常に取り入れ、徐々に運動量を増やしていくことで、体力を回復させます。無理のない範囲で続けることが大切です。
まとめ
長引く倦怠感(だるさ)は、単なる疲労ではなく、さまざまな健康問題の兆候である可能性があります。自分では「疲れているだけ」と思っていても、背後には重大な病気が隠れていることもあります。
倦怠感(だるさ)が続く場合は、ぜひ医療機関で相談し、適切な検査と治療を受けましょう。また、日常生活での習慣改善も、症状の軽減につながる可能性があります。体のサインに耳を傾け、早めの対策で心身のバランスを取り戻しましょう。
投稿者プロフィール
- あかし内科クリニック(大阪府柏原市)の副院長です。総合内科専門医、家庭医療専門医・指導医、救急科専門医、医学博士。診療所から大病院まで、色々な医療機関で研鑽してきました(現在も継続中)。「最初に何でも相談できる医者」を理想とし、日々診療しています。
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