「最近、足がむくみやすい」「朝起きたら顔がパンパン…」 そんな悩みを抱えていませんか?

この記事では、むくみ(浮腫)の原因となる様々な病気や、日常生活でできる対策まで、わかりやすく解説していきます。

「むくみって放っておいても大丈夫なの?」「病院に行った方がいいケースってあるの?」 そんな疑問にもお答えします。むくみ解消のヒントを見つけてください!

むくみ(浮腫)ってなぜおこるの?

私たちの体は、常に水分バランスを絶妙に保っています。しかし、時にはそのバランスが崩れ、体内に余分な水分がたまってしまうことがあります。特に足や手は水分が溜まりやすい部位であるため、体全体の水分バランスが崩れる病気の初期症状として、むくみがでることもあります。

むくみが強くなるとと、皮膚が伸びてテカテカと光沢がでてきます。重力の影響から地面に近い体の部位で、むくみは悪化しやすい傾向があります。例えば、歩行後・長時間立っていた後・長時間座っていた後には、足に強いむくみがでやすくなります。また、数時間ベッドに横になった後には、腰にむくみがでることもあります。

足のむくみが強くなると押してへこんだり、皮膚に光沢が出ます。

様々なむくみ(浮腫)の原因

むくみには様々な原因があり、軽度のものから深刻な病気の兆候まで幅広くあります。

緊急で受診が必要なむくみ

唇、舌、口内に突然むくみが生じた場合は特に注意が必要です。血管管性浮腫の可能性があり、呼吸困難がでる可能性があるため、直ちに救急外来を受診する必要があります

静脈の機能不全

足のむくみの原因として一般的です。静脈内の弁が正常に機能しなくなったり、ふくらはぎの筋肉が適切に血液を送り出せなかったりすると、血液が静脈内を逆流して足にたまります。

静脈の弁がうまく働かないと足元に血液が逆流して、むくみの原因となります。

軽い症状では足が重たい・少し痛い・静脈瘤が目立つ程度ですが、悪化すると足のむくみや皮膚の変化がでる場合があります。皮膚が薄くなり、皮膚潰瘍が生じることもあります。

足のけがや肥満、長時間の立ち仕事や座り仕事で悪化します。

深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)

足の静脈に血栓が生じることでむくみがでることがあります。通常は片側(左または右)の足だけがむくみます。むくみを起こす他の病気では、通常は両足が腫れます。ピルを内服中の方や整形外科の手術後の方に多く発症します。

妊娠

特に妊娠後期に体液量が増え、手足や顔にむくみが現れることがあります。

月経

ホルモンの変化により、周期的にむくみがでることがあります。通常は治療不要です。

薬剤の副作用

糖尿病の治療薬(ピオグリタゾンやロシグリタゾンなどのチアゾリジン系薬剤)、高血圧の治療薬(アムロジピンなどのカルシウムチャネル拮抗薬)、鎮痛薬(ロキソニンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬)、エストロゲンなどが原因として有名です。

腎臓病

腎機能の低下により、体内の水分やナトリウムのバランスが崩れることがあります。足や目の周りにむくみが出やすくなります。

心不全

心臓の機能低下により、体液が適切に循環されずにたまってしまうことがあります。悪化すると足だけではなく肺や腹部に水がたまり、息切れなどの症状が出ます。

肝硬変

肝臓の機能障害により、腹水や足のむくみがでることがあります。

血管性浮腫

遺伝子の異常や薬の副作用で、血管から周囲の組織に体液が漏れ出すことがあります。顔・唇・舌・のど・声帯・手足・陰部が急速にむくんで、声がれ・のどの圧迫感・嚥下困難などを伴うことがあります。腸がむくんだ場合には腹痛をおこすことがあります。

リンパ浮腫

がん(最も多いのは乳がん)の治療としてリンパ節を切除すると、手術側の皮膚が厚くなり、手足がはれることがあります。リンパ浮腫は、感染症、外傷、または肥満でも起こることがあります。

長時間の移動

飛行機などで長時間座っていると、下肢がむくむことがあります。

飛行機でのむくみ予防!(6時間以上のフライトでは特におすすめ)
1~2時間ごとに立ち上がって歩く
ゆったりとした快適な服装を心がける
足首と膝を定期的に曲げ伸ばしする
足を組まないようにし、座っている間は頻繁に姿勢を変える
膝下までの着圧ストッキングを着用する
鎮静剤、睡眠薬、アルコールは避ける

むくみ(浮腫)の診断方法

  • 病歴の聴取:症状の経過、既往歴、服用中の薬剤などについて詳しく聞き取りを行います。
  • 身体診察:むくみの程度や分布、他の症状の有無を確認します。
  • 必要に応じて検査:血液検査、尿検査、心エコー、足のエコー、CT検査などを行うことがあります。

むくみ(浮腫)の治療はお薬と圧迫

むくみの治療は、その原因によって異なります。

  • 可能であれば、むくみの根本原因となっている病気を治療します。
  • 食事中の塩分(ナトリウム)を減らすことも大切です。
  • 余分な水分を排出するために、利尿薬と呼ばれる薬が使われることもあります。
  • また、圧迫ストッキングの着用や、足を高く上げて休むことも効果的です。

ただし、すべてのむくみが治療を必要とするわけではありません。妊娠や月経周期に伴うむくみは、通常治療の必要はありません。

食塩(ナトリウム)の摂取量を減らす

食塩や加工食品に含まれるナトリウムは、むくみを悪化させることがあります。特に利尿薬を服用している場合は、食事中の塩分を控えることで、より早くむくみを軽減できます。

利尿薬の服用

利尿薬は、腎臓からの水分とナトリウムの排泄を促進する薬で、むくみを軽減する効果があります。しかし、体内の水分バランスに大きく影響するため、慎重に使用する必要があります。急速に体液が減った場合、血圧低下によるめまいや失神、さらには腎機能障害を引き起こす可能性があります。

利尿薬を服用すると、トイレに行く回数が増えることがあります。ただし、医師が処方した適切な用量を守れば、他の副作用はあまり見られません。

特に夏場や高齢者の方は、利尿薬使用時に脱水症状に注意が必要です。暑い季節は汗をかきやすく、高齢者は体内の水分量が少ないため、脱水のリスクが高まります。十分な水分補給を心がけ、体調の変化に注意を払いましょう。

弾性ストッキングを着用する


弾性ストッキングは、足のむくみの予防・治療に効果的です。膝下丈・太もも丈・パンティストッキングなど様々な長さがありますが、ほとんどの場合は膝下丈で十分です。

足首で最も強く締め付けがあり、脚の付け根に向かって徐々に圧力が弱くなるよう設計されている着圧ストッキングが効果的です。市販の製品ではメディキュットがおすすめです。

むくみがひどい場合・長時間の立ち仕事が多い場合・足に潰瘍がある場合、医療用の着圧ストッキングが必要になることがありますので、医療機関にご相談ください

ストッキングによっては皮膚炎や痛みを引き起こすことがあるため、正しいサイズを選ぶのが重要です。

弾性包帯をまく

弾性包帯は骨折やケガの固定に使われる、伸縮性のある包帯です。弾性ストッキングが履くことができない場合に、足に巻いて使用します。

弾性ストッキングよりむくみの改善効果は弱くなること、巻きなおすのに手間がかかることが欠点です。

足を高く上げる

足のむくみ対策として、1日3〜4回、30分ずつ足を心臓より高い位置に上げることも効果的です。軽度のむくみなら、この方法だけで改善することもあります。

仕事中などこまめに脚を上げるのは難しい場合は、就寝時や休憩時間など、無理のない範囲で実践してみてください。

まとめ

むくみの原因は多岐にわたる一方、多くの場合は適切な診断と治療で効果的に改善することができます。

むくみに悩んでいる方、あるいはむくみについて気になる点がある方は、ためらわずに医療機関に相談してください。

投稿者プロフィール

明石 祐作 Yusaku Akashi, MD, PhD
あかし内科クリニック(大阪府柏原市)の副院長です。総合内科専門医、家庭医療専門医・指導医、救急科専門医、医学博士。診療所から大病院まで、色々な医療機関で研鑽してきました(現在も継続中)。「最初に何でも相談できる医者」を理想とし、日々診療しています。