承認予定の新型コロナの飲み薬、その効果を解説

祐作医師

新型コロナウイルスの飲み薬が続々と開発されています!
今年中に承認予定と噂の飲み薬、その効果はどれくらいでしょうか?

記事の要点

  • メルクが開発した新型コロナの飲み薬、モルヌピラビルが承認予定
  • モルヌピラビルは発症5日以内の投与で入院・死亡率を半減
  • 発症してすぐの正確な診断(PCRが理想)と投与が大切

飲み薬の普及で簡単に治療が可能に

新型コロナウイルス(COVID-19)に有効な治療薬は限られています。


軽症の方:抗体カクテル療法(商品名:ロナプリーブⓇ)
中等症以上(酸素が必要):レムデジビル(商品名:ベクルリーⓇ)、デキサメタゾン

いずれも有効な治療法ですが、外来で簡単に使える薬ではありません。

現在様々な飲み薬の開発が進んでおり、メルク、ファイザー、塩野義、MSD、ロシュなどの製薬会社がしのぎを削っています。

ワクチンの普及に加えて飲み薬で治療できるようになると、新型コロナウイルスの対応が大幅に変わると期待されています。新型コロナウイルス感染は入院しないで簡単に治療できる病気になる可能性があります。

現在進行中の内服薬(一部)

  • メルク:モルヌピラビル
  • 塩野義製薬:S-217622(3CLプロテアーゼ阻害薬)
  • ファイザー:PF-07321332
  • ノバルティス/Molecular:Ensovibep
  • MSD:モルヌピラビル

メルク社の飲み薬(モルヌピラビル)が年内にも承認される可能性が報道されました。

ウイルスは自分の遺伝子をコピーして増えます。レムデジビル(点滴)や承認予定のモルヌピラビル(飲み薬)は、ウイルスが遺伝子をコピーする過程を邪魔します。増えることができなくなったウイルスは死滅します。
※具体的にはウイルス中の「RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)」の働きを抑えます。

メルク社の飲み薬(モルヌピラビル)は入院・死亡の可能性を半減

現在メルク社の広報より第三相試験(治験の最終段階)の中間報告が発表されています(論文は未発表)。二重盲検ランダム化試験という治療薬の評価では最も信頼性が高い研究手法が使われています。

本物の薬(今回はモルヌピラビル)を飲んだ患者とプラセボ(偽物の薬)を飲んだ患者を比較して、薬の効果を判定しています。

研究は世界全国で行われ日本も含まれます。

研究の対象者は以下すべて該当した患者です。

  • 発症して5日以内
  • 重症化リスクが一つ以上ある
  • 検査で新型コロナウイルス感染を確認
  • 軽症~中等症

研究参加後29日目の死亡率または入院率を比較しました。

  • モルヌピラビルを内服した患者:7.3%(335人中28人)
  • プラセボ(偽薬)を内服した患者:14.1% (337人中53人)

14.1%→7.3%と入院率・死亡率が半減しました!

特効薬とはいきませんが、ウイルスに効く薬としてはかなり効果が高いといえます。
※インフルエンザに使うお薬はもっと効果が低いです。

死亡した患者数を比べると、

  • モルヌピラビルを内服した患者:0人
  • プラセボ(偽薬)を内服した患者:8人

という結果でした。一見100%死亡を防ぐように見えますが、そこまでの効果はないと予想されます。

研究ではデルタ株、ガンマ株、ミュー株といった変異株が80%を占めていました。変異株にも十分有効なことがわかります。

副作用の発生率はモルヌピラビルとプラセボでほぼ同じでした。

モルヌピラビルは予防薬としての効果があるかも研究が進んでいます。インフルエンザでも予防薬として飲み薬を飲むことがあり、高い効果が示されています。予防効果が証明されればワクチンが打てない人には良い知らせです!

早期の正確な診断・早期治療が大事!

入院や死亡率を半減するモルヌピラビルですが、発症して5日以内の内服開始で効能が示されています。

モルヌピラビルのような抗ウイルス薬は飲み始めるのが早いほど一般的に効果が高いです。

PCR検査など信頼性が高い検査を使い、発症してすぐに診断→内服を開始するのが理想的です。

参考文献

https://www.merck.com/news/merck-and-ridgebacks-investigational-oral-antiviral-molnupiravir-reduced-the-risk-of-hospitalization-or-death-by-approximately-50-percent-compared-to-placebo-for-patients-with-mild-or-moderat/

Nature Structural & Molecular Biology volume 2021;28:740–746.